相続税について

相続税について

相続税の課税対象となる財産は、亡くなった方の所有していた土地、家屋、有価証券、預貯金、現金、貴金属、書画骨董、家庭用財産など金銭に見積もることのできるすべての財産です。その所在は、国内国外を問いません。これ以外に①死亡保険金、死亡退職金などのみなし相続財産 ②相続開始前3年以内に亡くなった方から暦年課税の贈与で取得した財産 ③相続時精算課税適用財産、があります。名義にかかわらず、亡くなった方の財産と認められるものは、相続税の課税対象となります。

名義預金

口座の名義は妻や子供の名前ですが、亡くなった夫(父)の収入で作成された預金がよくあります。これを名義預金といいます。証券会社の口座も同じです。この名義預金や名義口座、税務調査になった場合には必ず問題とされます。
また妻が契約者名義の生命保険契約。その保険料を、亡くなった夫が負担している場合も、相続財産として申告する必要があります。名義にかかわらず実質で相続財産か否かの判断をして申告しないと、税務調査で辛い思いをしたうえに加算税、延滞税まで納めることになります。

亡くなった方の預金から大きな出金がある場合には注意が必要です。お金の使い道が明確にわかっていればいいのですが、使い道が不明の場合には税務調査になると必ず問題視されて、配偶者、子供への贈与が疑われます。亡くなった方の口座から、親族へのお金の移動があれば、贈与か貸付等の何らかの申告が必要となることがあります。
また、葬式費用のためにあらかじめ亡くなった方の預金から引き出して保管していた現金、相続開始日に引き出した預金も申告漏れにならないように注意が必要です。

小規模宅地等の特例

相続税の特例で、大きな節税効果があるのが小規模宅地等の特例です。一定の条件を満たす居住用の宅地は330㎡までについて80%の評価の減額、一定の条件を満たす事業用の宅地は400㎡までについて80%の評価の減額、一定の条件を満たす貸付事業用の宅地は、200㎡までについて50%の評価の減額のできる特例です。
どの宅地に小規模宅地等の特例を適用するかは、他の相続人の同意が必要です。また、一度この特例を使って申告すると、あとから他の物件について特例を適用したほうが有利であるとわかっても特例適用物件の変更はできません。複数の宅地がある場合には、どの宅地に特例を適用するのか注意が必要です。

配偶者の税額軽減

相続や遺贈で配偶者が財産を取得した場合、配偶者の税額軽減の特例があります。この特例を使うと、亡くなった方の配偶者が取得した財産の価額が1億6000万円以下である場合、または課税価格の合計額に配偶者の法定相続分を掛けた金額以下の場合には、相続税の計算上配偶者に税金がかかりません。

これらの特例を使うには

小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減、このふたつの特例の節税効果は絶大です。ただし、申告期限までに遺産分割協議が成立していないとこれらの適用はありません。何らかの理由で申告期限までに遺産分割協議が整わない場合は、これらの特例は使えません。その場合、とりあえず全財産を法定相続分で分割したとして、これらの特例を適用しないで期限内に申告、納税する必要があります。 つまり多額の相続税を納付する必要があります。
その際申告書には「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付します。
その後3 年以内に分割協議が成立したとき、これらの特例を適用して減額の申請し、納めすぎの税金を返してもらいます。
円満な相続、円満な遺産分割は、最大の節税につながります。

とりあえず税金が出ないように、配偶者の税額軽減の特例を最高限まで使って配偶者が相続すると、配偶者の相続税は大きく減額されるか、ゼロになります。 しかし次の配偶者の相続の時が問題です。相続税がドンと子供にかかってきます。一次相続の税金、二次相続の税金をトータルで考えないと、節税にはなりません。

相続税対策

相続税の対策として、毎年110万円の贈与税の基礎控除の範囲内で贈与をしていても、その方法が悪いと税務調査の時に、問題になることがあります。 贈与とはあげる人と、もらう人の契約です。 よくある例は、父親(亡くなった方)が家族に内緒で子供名義の通帳を作成し、自分の口座からその口座にお金を移し替えることです。 父親は贈与のつもりですが、これでは贈与にはなりません。名義預金そのものです。
贈与税には 「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例」、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税特例」「配偶者控除の特例」など相続税の節税となる特例があります。これらの特例を有効に使うと節税効果は大きくなります。

一家の大黒柱を失うと、それまで円満だった親族関係にもひずみが生まれることはあります。あなたの亡くなった後の遺産争いが心配なら、遺言書を作成することが最良です。それも公正証書遺言です。一定の様式を備えていない遺言書は効力がありませんから、自筆の遺言書は避けるべきです。
子供がいない家庭の場合、遺言書は必ず作るべきです。夫が死亡した場合、相続人は妻と夫の兄弟姉妹です。法定相続分は、妻が3/4、兄弟姉妹が、1/4 です。もし遺言書がなければ、遺産分割協議が必要となり、自宅を妻が相続できる保証はありません。高齢者間の話し合いや協議には時間がかかり、残された妻の心労は計り知れません。遺言書があれば、兄弟姉妹に遺留分はありませんから、全財産を妻に相続させることができます。
それ以外でも①子供同志の仲が悪い②先妻の子がいる③家業の継続を望む④自宅以外に財産がない・・・等の場合には遺言書を作成する必要があります。

相続税を払って取得した相続不動産を売却する場合、相続税の申告期限から3 年以内の売却であれば、相続税の一部が譲渡所得の必要経費になります。相続後の売却をお考えなら、この特例を使うと節税となります。 しかし、複数の相続人で共有相続した場合、売却についての意見がまとまらず、この3年の期間を経過して特例が使えなくなることがあります。それに、世代が変われば親族関係も疎遠になります。その後の事を考えれば、共有での相続は避けるべきです。

減額請求

相続税の申告期限から5 年以内なら納めすぎの税金について減額請求ができます。国税通則法という法律で定められた納税者の当然の権利です。 計算誤り、評価誤りで税額が減少する場合に、この請求ができます。 相続財産で土地の割合が大きく、形の悪い土地、市街地の田畑、500㎡以上の土地等が含まれている場合、再検討して納めた税金の還付に繋がる可能性があります。 相続税の税額は多額になることも多く、セカンドオピニオンも必要です。

土地等を寄付する場合

社会貢献への関心の高まりもあり生前に財産を公益のために寄付したり、遺言書による遺贈で財産を公益法人等へ寄付する方は増えています。法人に、個人が土地等を寄付する場合、「みなし譲渡」課税され、寄付した個人に譲渡所得税が課税されます。
公益法人への寄付も同じで、原則的には寄付した個人に譲渡所得がかかってきます。
しかし、一定の要件に適合した公益法人への寄付であれば、この譲渡所得が非課税となる特例があります。これが租税特別措置法40条の特例です。原則課税の譲渡が非課税となる特例ですから、その手続きは、きわめて複雑です。

相続税のこと、分かりやすくご説明します。

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